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コロナ禍で考えたこと―ヤマザキマリ「たちどまって考える」を読んで

先日、図書館で目に留まった本、「たちどまって考える」。

タイトルに魅かれて借りましたが、著者は映画化もした漫画「テルマエ・ロマエ」を描いた方でした。

主な内容は、

新型コロナウイルスによって動きを封じられた今、立ち止まって考えたこと

でした。

イタリアに家族を持ち、世界中を旅してきたヤマザキさん。

日本にひとり留まり、今何を見て、経験し、考えたか。

この本を読んで、次のような収穫がありました。

  • 新型コロナウイルスのせいにして自分で行動しなくなってしまったことに気づいた
  • コロナ禍だからこそできることを見つけようと行動できた
  • 報道を鵜呑みにするのではなく、多方面から情報を得ようと思えた

“耳の痛いことを避けず、面倒なことからも目を逸らさず、この時間をいかに過ごすかによって未来は変わってくる。一人ひとりがルネサンスを起こせるかの岐路に、今、私たちは立っているのかもしれません。”—第3章たちどまって考えたことp.139より抜粋

この記事では、本の要約をしながら私自身が感じたことを載せます。

こんな人におすすめ

  • 本について知りたい方
  • 今、立ち止まって苦しんでいる人
  • 新型コロナウイルスについて世界の動きを知りたい方
  • 30代主婦が立ち止まって考えたことに興味のある方(笑)

コロナ禍にぜひ読んでほしい1冊です。

おうち時間に、立ち止まって一緒にかんがえてみませんか?

コロナで問われる命の重みと自由の制限

ヤマザキさんはコロナでイタリアの家族に会えずとも毎日のように

ビデオチャットで夫や息子と様々な話をしていました。

その中で幾度も話題になるのが、コロナに対する日本とイタリアの対応の違いです。

イタリア、と聞くと「自由奔放な国」というイメージがあったのですが、

報道でロックダウンや外出制限に対して人々が忠実に守っている光景を観てビックリしました。

ヤマザキさんによると、イタリア人は、

歴史の中で「命さえあれば復興できる」と学んでいる。

だからこそ、法律に従っているとのことでした。

一方、日本はいつまで経っても法律が整備されず、

自粛

という自己責任に任された状況が続いています。

政治家が責任を取ろうとしない社会。

経済悪化や人との交流が制限されたことで日本では自殺者が増えています

先日も、10代の自殺者が増えたと報道がありました。

ヤマザキさんが以前リーマンショックで自殺者が沢山いた話をイタリア人の夫に話すと、

ありえない!」と答えたそうです。

キリスト教のカトリックでは、自分の意志で自らの命を絶つことは大罪とされています。

イタリアではキリスト教徒でも無神論者でも

約2000年前に発生したキリスト教の聖書に書かれていることが、

彼らの倫理観の礎となっているそうです。

調べてみると、やはりヨーロッパでは他国に比べて自殺者が少ない。

ヨーロッパの倫理観が宗教だとすると、日本の倫理観は何なのでしょうか?

ヤマザキさんは「社会」と「世間体」だと考えるそうです。

日本「社会」が作った「これが正しい」という考えが日本人の倫理観。

確かにそんな気もするし、少しは仏教に影響されているんだと思います。

日本ほど倫理観が曖昧な国はないのかもしれません。

ちなみに仏教では、自殺が罪であると書かれた書はないそうです。

 

「人はみな平等である」と考える仏教。

 

「自殺した人は弱かった」や「愚かだった」と言う人もいますが、仏教ではそんな区別はしない。

 

現世にいる人と、そうでない人。それだけ。

いずれにせよ、日本人の自殺率は世界でもトップですから、

ヤマザキさんの話すようにいかに日本人が周りの目を気にして生きているかが顕著に表れています。

命さえあれば復興できると考えるイタリア人

社会や世間の目を気にしすぎるあまり、自らの手で命を絶ってしまう日本人

この違いはいったい何なのか。

もう少し他国とも比較してみたいと思いました。

知らなかったイタリアと中国の関係

中国で最初に感染が広がった新型コロナウイルスですが、

次に感染が爆発的に増えたのはイタリアでした。

ニュースでイタリアと中国は貿易が盛んで人の出入りが多いからと聞いていましたが、

ヤマザキさんが本の中で更に詳しく紹介しています。

イタリアの北部ではもはや中国人の力なしでは経済が回らないそうです。

例えば観光都市ベネチアではカフェやレストランと飲食店の多くが中国人オーナーになっているとか。

イタリア国内で経済が回らなくなり、工場や会社が中国人に買収され始めた頃、

イタリア人は中国人に対して恐れを抱いていた、とヤマザキさんは話します。

この話を聞くと、今回のコロナ騒動は相当迷惑だったし、

中国人に対して差別が起きると思ったのですが、そうではない

ヤマザキさんの家族の話では、

中国から医療団が送られてきたことに

来てくれてほんとに助かったと言う感謝の声があったそうです。

アメリカと中国のような中傷合戦もないなんて。

日本は中国なしに生きられるのでしょうか?

新型コロナウイルスが中国で感染拡大した当初、日本ではマスク不足が起きました。

マスクの製造を中国に頼っていたからです。

また観光業では多くのホテルや旅館が打撃を受けました

日本の宿泊施設や旅行会社がインバウンドに頼り切っていたことが浮き彫りに。

経済大国中国に頼っているのは日本もイタリアも同じ。

この困難をチャンスに変えて、これから中国に頼らない経済の回し方を考えなければならないんじゃないでしょうか。

例えば、今では第二波が起きた要因とされてしまった「Go to Travelキャンペーン」ですが、

国が観光業を支える方法の1つとしてよい取り組みだったと私は思っています。

パンデミックが比較してみせたリーダーの姿

パンデミックにおいて、各国の対応越しにそれぞれの国の性質が見えてきたとヤマザキさんは話しています。

その中でヤマザキさんが注目したのは、各国リーダーの演説の雄弁さでした。

いかに自分の言葉で民衆に響く演説ができるか

それが欧州で求められるリーダーの重要な資質能力。

今回のパンデミックで注目を浴びたのがドイツのメルケル首相でした。

日本でもメルケル首相の演説が一時的に話題になりました。

対して日本の首相は原稿を読むだけじゃないかという批判の嵐。

確かに日本の政治家の演説は「言わされている」感が強く、人の心に響きません。

ただ、この報道で中心となったのは日本の政治家の批判であり、メルケル首相がどんなことを話したのか詳細な報道はしていませんでした。

報道機関がこのように批判だけに終わるのはどうにかならないものですかね。

大切なのは、メルケル首相が何を話し、何が国民の心に響いたのか学ぶことなのに。

そういう私もメルケル首相のスピーチをまだきちんと聞いていなかったのでこれを機に聞いてみました。

日本人でこれだけのスピーチができる政治家はいないんじゃないでしょうか。

そもそも、私たち日本人は、「人を納得させる話し方」を学ぶ機会がほとんどありません。

ヤマザキさんはこの力を「弁証力」と呼んでいます。

イタリアでは小さな頃からの学校教育に弁証力をつけるシステムが組み込まれているそうです。

イタリア人は自ら考え相手を説得する術を昔から学び、他国からの侵略や争いの中で実践してきました

一方島国の日本では歴史の中で「弁証力」がいたって必要なかったのではないでしょうか。

江戸時代末期、異国の船が押し寄せる中、あれよあれよと他国と不平等な条約を結ばれてしまったのは、

他国について知識がなかったからでしょう。

現代においても、日本の教育に「弁証力」を養うことは求められていないように思います。

日本の「失敗したくない」病と劣等感

ヤマザキさんが友人とコロナに対する休業補填や対応について話を聞く中で

やっぱり日本はとても物事が進む速度が遅かったと話しています。

この理由を石橋を抱くことに注力しすぎる傾向があるのではと言っています。

間違えないように失敗しないようにバッシングされて援助しないようにと

いろいろ検証し確認してから予約実行すると言うような。

確かに私もそう思う。

明らかに対応が遅すぎるこの状況を見て国民はかなり政治家に対して不安感を持ったし落胆しましたよね。

この失敗しないようにと言う考え方が政治家にある限り、

日本全体、教育に関してもやはり失敗しないようにすることをに注力してしまうのではないでしょうか。

なぜこんなにも失敗を恐れ、劣等感から逃げようとするんでしょう。

日本人はもともと劣等感を持っている、

もしくは「劣等感は持っている」と相手に見せるのが正しいと思っている人が多いそうです。

それは、「周りからみられる自分」を気にする国民だからなんじゃないかとヤマザキさんと同様に思うんです。

ヤマザキさんは、それを日本人の倫理観と言い、

歴史を遡れば、江戸末期からずっと続いているんじゃないかと考えています。

欧米諸国が進んでいるのに対し、自国に劣等感を抱き、それがいつの間にか国民に染みついてしまったと。何だか感染症と似ている部分がありますね。

コロナ禍の不安と向き合うため今できること

世間体を気にする日本人ですが、他社と関わる機会が減った今、

それはそれで自分についての意見がもらえないと不安になるのではないでしょうか。

または、SNSでのコメントや誹謗中傷ばかりに気を取られ、気を病んでしまう方も多い気がします。

ヤマザキさんは、そんなコロナ禍に読書や映画鑑賞をすすめています。

映画鑑賞や読書は自分自身を見直す良い素材であり、その行動はいわば「自家発電」。

そう考えるヤマザキさんはこのコロナ禍に息子デルスさんと名作映画を見返して感想を言い合っているそうです。

紹介されていた映画で、私が個人的に見たいなと思った映画をいくつか載せておきます。

  • 生きる [黒澤明]
  • 真夜中のカーボーイ [ジョン・シュレンジャー]
  • 東京物語 [小津安二郎]
  • ゴットファーザー [フランシス・フォード・コッポラ]
  • フラガール [李相日]

私も日々子育てに追われていますが、時間を見つけて読書をたくさんしよう。

まずはここにある映画や本を読んだり見たりしよう!

まとめ

ヤマザキマリさんの「たちどまって考える」を紹介しながら、私が考えたことをご紹介しました。

行動を制限されると周りのせいにして自分自身の行動力がなくなっていく

本当は制限された中でもできること

今まで以上に力を注げられるものがあるかもしれない

戦争や疫病の後にルネサンス文化が開花したように、

このコロナ禍が過ぎ去った後に人々の暮らしがもっと豊かになるといいな。

 

耳をふさぎたい情報からは逃げず、

発明されたもの、成長したものについて目を向けてたい。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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参考
ヤマザキマリ「たちどまって考える」特設ページ本の試し読みできます

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