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高校教師時代に読んだバイブル英語教育書10選

こんにちは、元高校教師ライターの宇佐 ナツです。

この記事では、私が公立高校で英語教師を6年経験した中でバイブルとして読み倒した教育書を10冊紹介します。

  • 英語教師になる前にどんな本を読めばいいかわからない
  • 教育実習/初めての授業に向けてどんな授業をしたらいいか分からない

という教師志望の学生さんや新米教師の方におすすめの本や、

  • 最近授業に行き詰っている
  • オールイングリッシュで授業をするのに悩んでいる
  • ワークシートをどう作ったらいいか分からない

といった授業について悩んでいる先生にもおすすめの本を紹介しています。

私の教師経験ですが、

1~4年目:中学の学び直しが必要な生徒がほとんどの高校。卒業後の進路は専門5:就職3:大学2の学校

5~6年目:スーパーグローバルハイスクール指定校。国際系の科があり、英語に力を入れている学校。9割が大学進学

でした。

紹介する本は、それぞれの高校で役立った本もありますが、基本的にどちらの学校でも役に立った本ばかりです。

本の紹介とともに、授業でどのように活用したかも紹介していきます。

英語教育の知識の本

英語教師として外国語を教える立場である以上、第二言語習得論や英語教育の歴史を学ぶのは必須だと考えます。

私たちはどのように第二言語を習得しているのか、理論を学んだうえで授業づくりをするのが大切です。

色んな本がある中で、一番読みやすかった本を紹介します。

外国語学習の科学

一番のポイントは、ページ数が少ないこと(笑)

第二言語習得論についてコンパクトにまとまっている上に、とても読みやすい日本語で書かれています。

かといって内容が薄いわけでなく、研究成果や学説、仮説、研究内容を、やさしく噛み砕きながら幅広く紹介しているので信頼がおける内容です。

この本をどう活用したか?

この本を授業に活かす、というよりか、英語教師として1冊持っておきたいですね。

授業の核~どんな授業をしたいか~を考えさせられた本

先生方は、授業に対する思いやビジョン、目的を持っていますか?

正直、私は教師になりたての頃そんなものは持っていませんでした(笑)

当初、進路指導に力をいれたいと考えていた私は、

授業=楽しく知識を教える

程度にしか考えていませんでした。

そんな私が、授業について真剣に考え、「こんな授業をしたい」と思えるようになった本を紹介します。

だから英語は教育なんだ

どんな授業をしたいか。着任初日に指導教官に言われた言葉に私は絶句(笑)

その日の夜、ノートを開いてどんな授業をしたいか考えた時に思い浮かんだのは、自分が高校時代に受けた授業でした。

私が所属していた国際系の学科には、国籍、海外経験、宗教、など様々なアイデンティティを持つ生徒が集まっており、ひとり一人が本当に個性的でした。

英語の授業でも、活発に意見が交わされ、異なる意見に耳を傾ける雰囲気があり、毎日が本当に楽しかったんです。

そんな授業をしたい。

でも、どうやったらそんな授業ができるのか。

自分では思いつかず、結局授業は何となく過ぎていってしまいました。

でも、Amazonで英語教育本を検索したり、大型本屋で何時間も教育本売り場で立ち読みした後、

やっと見つけたのがこの本です。

前書きにはこんなメッセージがあります。

本書が目指すのは、「うまい授業」よりも「心に残る」授業、人まねの技術の張り合わせよりもむしろその教師なりの信念に基づく授業である。

著者は「英語=将来役に立つもの」として英語教育の需要が高まっていることを喜びながらも、それに一遍していることへ危機感を抱いています。教育として英語にできることは何かを考え授業を作るのが大切だ、と。

本書は、3部構成になっています。

第1部理念編

中等・高等教育の教科としての英語の役割は何か、著書の考えがまとまっています。

第2部実践編

理念を受けて、どのように授業を組み立てていくか、クラスづくりを中心に実践方法が紹介されています。

教師が生徒を肯定的に理解し関わる。授業で共生・共有・共育・共感を意識する。

教師が上記を意識し、生徒に次の行動が出来るようになることが大切、と。

  • 他者との協力
  • 自分を好きになる
  • クラスを変える
  • 違いを認め合う

英語の授業でこんなことが出来るのか?と疑問に思うかもしれませんが、本書にはこの行動を促した実践例と生徒の反応が紹介されていて、とても具体的でした。

第3章指導方法編

具体的な英語授業、つまり英語の習得をしながら第1~2章の理念とクラスづくりをどう実践していくかが紹介されています。

映画や詩を使った授業や、Show&Tellなど生徒の考えを発表させる授業など。

この本をどう活用したか?

この本は授業方法ではなく、授業に対する思いや理念についてが多く書かれています。私がやりたい授業とこの本に書かれている理念が似ていたので、授業について悩んでいる時に何度も読み返しました。

私のやりたい授業って何だっけ。

そう思ったときに理念編を読み返す。本には付箋が沢山つきました。

ヒューマンな英語授業がしたい! かかわる、つながるコミュニケーション活動をデザイン

「だから英語は教育なんだ」の続編ともいえる本です。

タイトルにあるようにコミュニケーション活動に重点を置いた本で、

なぜ英語授業にコミュニケーション活動が必要か

を説いています。

本書では前半でこの質問に対しての著者の考えが述べられており、

後半ではコミュニケーション活動の目的に応じた授業や活動例を細かく紹介しています。

コミュニケーション活動の悩みにも解決方法を提示

コミュニケーション活動を授業に取り入れると、何かと配慮しなければならないことや問題点がでてきますよね。

例えば、

  • ペア・グループ編成はどうしたらよい?
  • 授業が白けてしまう
  • なかなか生徒がやる気を出さない

などなど。私もかなり悩みました。そんな悩みに対して本書はヒントを提示してくれます。

この本をどう活用したか?

「だから英語は教育なんだ」を読んだ後、本書を読んでコミュニケーション活動の目的とそれに合わせた授業方法を学び、授業で実践しました。

例えば、4月の授業では人間関係形成のためのコミュニケーション活動に力を入れるため、名刺交換を授業に取り入れました。

「話す」「聞く」活動に目的や目標を明確にすること、生徒に理解させることで、生徒のモチベーションも上がりました。

授業方法の本

ここで紹介する本は、英語授業における4技能の習得や文法指導など、具体的な指導方法が書かれている本です。

大修館英語授業ハンドブック 高校編

英語授業の基礎中の基礎をまんべんなく説明してくれる本です。

4技能の授業方法だけでなく、テスト作成や評価、教材・教具についても触れています。

この本をどう活用したか?

この本は、教師1年目に沢山読みました。

音読の様々な方法やテスト作成方法などを参考にして授業・考査づくりをしました。

新しい英文法指導アイデアワーク(中学3年) フォーカス・オン・フォームでできる! 

文法事項を用いたコミュニケーション活動の具体的方法が紹介されています。

文法指導というと説明と問題演習になりがちですが、実際に生徒に使わせて定着をはかるのが大切だと本書に紹介されている活動を実践して感じました。

この本をどう活用したか?

初任校では中学の学習事項を学びなおす必要がある生徒ばかりだったので、なるべく楽しいコミュニケーション活動ができるように心がけました。

英語教師のためのフォーカス・オン・フォーム入門 成功するタスク&帯活動アイデア

前半はフォーカス・オン・フォームについて専門的な知識や研究についての説明があり、後半はフォーカス・オン・フォームを用いた活動案が紹介されています。

この本をどう活用したか?

本書で紹介されている帯活動を初任校で活用しました。

しかも、紹介されている活動に使うワークシートをオンラインでダウンロードできます。

ダウンロードページはこちら↓

英語教師のための フォーカス・オン・フォーム 入門成功するタスク&帯活動アイデア

この教材を生徒分印刷し、授業の初めの活動に使っていました。

↑こちらの記事で具体的な活動方法を紹介しています。

英語教師のための発問テクニック 英語授業を活性化するリーディング指導

リーディング授業、訳読や答え探しになっていませんか?

本書では、教師の発問を工夫することで授業が活性化する方法を紹介しています。

  • 生徒が「読みたい!」と思えるようになる
  • 教材を読んで感じることを自己表現させる
  • 教材をもとに他者と考えを共有する
  • 教材と自分の繋がりを感じてもらう

発問を工夫して、上記のような効果が得られるとし、具体的に授業でどのような発問をしていくかがわかりやすく説明されています。

この本をどう活用したか?

本書の方法を用いて、教科書の新しいレッスンに入る前に、必ず教材に興味を持たせるような発問をしました。

また、教材を読み終えた後の活動として、Show & Tell活動やwriting活動を取り入れるなどして、生徒にとって授業で学んだ内容が定着するようにしました。

英語で英語を読む授業

オールイングリッシュが推奨される今、どのように授業をすれば良いか悩まれている先生が多いと思います。

そんな悩みにヒントを与えてくれるのがこの本です。

クラスルームイングリッシュの使用例から、様々なアクティビティの紹介がされています。

「オールイングリッシュ=難しい」イメージがありますが、学校のレベルに応じた授業案も紹介されているためとても参考になります。

授業準備やテスト作成に欠かせない本

ここで紹介する本は、ワークシートづくりや考査問題を作る際に欠かせなかった本です。

ロングマンワードワイズ辞典

「英語の授業は英語で」が基本の今の授業。なんでも英語に訳せばいいというものではありません。
いかに易しい英語で簡潔に説明できるかが授業の鍵です。
ワークシートに使う英語の説明も簡潔であったほうが生徒が理解しやすいし、
載っている表現を生徒が使えるようになればしめたものです。

そんな時に使うのがこの「LONGMAN Wordwise Dictionary」です。
各単語の説明がだいたい中学卒業レベルの英語で書かれています。

ワークシートに載せる指示以外にもこの辞書は役立ちます。

例えば、

英単語の意味を英語の説明を読んで推測する単語学習の導入

にも使えます。

introduce – to tell someone about something or show them something for the first time

生徒にこの説明を読ませる、もしくは教員が口頭で説明し、意味を推測させる。
これをすることで、生徒の読解力・思考力を鍛え、新出単語の定着をはかることができます。

ロイヤル英文法改訂新版 徹底例解

様々な文法書がある中で、一番専門的で信頼できる本だと思います。

まとめ:教育本は読む→実践→ふりかえり→読む

私が高校教師時代読み倒したバイブル教育書10冊を紹介しました。

先生方の中には、教育書は読んだけど、本棚に眠ったまま…なんて方もいるのではないでしょうか。

それは勿体ない!せっかくいい値段のする教育書を購入したのですから、授業に活かさなければ!

私は上記のバイブルを読み、授業で実践し、反省し、また読み直すというサイクルを何度も続けました。

何冊も買うより、限られた冊数を何度も読み返すのがおすすめです。

この記事が日々授業について悩む先生方の参考になりますように。

このブログでは他にも先生向けの記事を公開しています。良かったら読んでくださいね!

 

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